INFPとADHDの考察に関する前書き
突然なのですが、今回この記事を作成した背景には
・INFPとISFPの記事が群を抜いてアクセス数が多い
・「ADHD」に関連したキーワードで検索されて当サイトの記事を読まれることが多い
という2つのデータがあります。
これらのことから推察するに、内向的感情(Fi)を優勢機能に持つタイプ(INFP、ISFP)は自身の性格タイプとADHDになんらかの関係性を見出だしている人が多く、実際にADHDの診断を受けている、もしくは自分はADHDなのではないかと感じている人が他タイプよりも多いと考えられます。
更にINFPとISFPの心理機能を反転させたタイプであるESTJとENTJの記事はアクセス数がとても少なく、IxFPの記事はそれらのタイプと比べて20倍以上もアクセスされているという面白い結果もあったりします。
また、ある方がTwitter上で集計されたADHDとタイプのアンケートの結果を見ると、INFPを筆頭にINTP、ISFP、ENFPの順で高い割合を占めており、逆に少ないタイプはESTJ、ESTP、ENTJの順であることが分かります。
このタイプごとのADHDの割合と当サイトのアクセス数には割と露骨に相関性があり、ADHDの割合が高い/低いタイプ群に共通する心理機能や性格的な特徴を分析することで、各タイプや心理機能とADHDの関係性をより深く考察できるのではないかと考え、この記事を作成することにしました。
長くなってしまいましたが、前置きは以上になります。
次の項からINFPとADHDの解説と考察が始まります。
ADHDの特徴とINFPの特徴の共通点
まずはADHDとINFPのそれぞれの特徴をざっと紹介し、双方に共通していると感じられる部分をピックアップしていきます。
ADHDの一般的な特徴
不注意
ミスが多い、ボーッとする、物を失くす、忘れる、気が散る、最後までやれない、課題ができない、順序が立てられない、集中困難、片付けられない
多動・衝動
ソワソワする、落ち着きがない、座っていられない、待てない、多弁、遮って話し始める、やりたいことを思い付きでやる、夜更かしをやめられない、物事を先延ばしにする
ADHDのメリット
独創性があり発想力に長ける、好奇心旺盛、興味があれば驚異的な集中力を発揮する、判断が早い、行動力がある
INFPの特徴
・空想好き
・優柔不断
・とても内省的
・ボーッとしているように見える
・頭の中は騒がしい
・いつも何かを感じたり考えたりしている
・控えめで優しい
・好奇心旺盛
・感受性が強くて繊細
・自分の価値観に正直
・内なる深い世界観を持つ
・創造性が高い
・想像力と直感力が高い
・自己開示は苦手
・賑やか過ぎる場所は苦手
・個を大切にする
・意外と頑固な面がある
・洞察力が高い
・鈍臭いことが多い
・飽きっぽい
・活動レベルが低い
・子どもっぽく見られる
・日常的な物事に関心が薄い
・日常生活において何かと不器用
・変わった物を好む
・独特なセンスの良さを持つ
・好きなことに全力を出す
共通点とその考察
ADHDの特徴とINFPの特徴を見比べると、両者にかなりの類似性を見出だすことができると思います。
特にADHDの不注意の特徴に関しては、INFPと相当似通っている部分が多いですね。
さて、ADHDの不注意とは要するに「現実の日常的なタスク」がキチンとこなせない、ということに相当すると考えられます。
部屋を片付ける、課題を期限内に終わらせる、忘れ物をしない、やっている作業に集中する、などのタスクはどれも日々の現実的な生活と密接な関わりを持っているものです。
しかし、INFPのような精神世界の住人にとって「現実の日常的なタスク」を適切にこなすということ自体が、容易にこなせる人と比べて精神や肉体に強い負担がかかりますし、それらを本当に大切なことだと感じられないかもしれません。
INFPはそもそも、ADHDであってもなくても不注意の傾向とは切っても切り離せない性格タイプだということですね。
逆にそれらをキチンとこなす能力が高い傾向にある人はS型、J型の性質を持つタイプが多く、一説によるとなんと人類の半数以上が「SJ型」だとも言われていたりもします。
INFPは「日常、現実」に注意を向ける多数派とは違う部分に注意を向けている傾向にありますが、それらはADHDのメリットの1つである「独創的な発想力、強い好奇心」にも繋がると考えられます。
しかし、通常INFPが見ている世界は、現実主義の多数派からすると往々にして「意味不明」に映ることが多いです。
INFPがいくら高度で抽象的な思想に耽り頭をフル回転させていても、多数派からしたら見ている方向性が自分たちとあまりにも違うため、それに価値を見出だせないことが多いんですね。
実際には重視するものが多数派とは違うだけで、INFPは非常に知的レベルが高いとされるタイプの1つなんですけどね。
またINFPの持つ高度な発想力は、芸術や哲学、発明、文学、社会学などの分野で大きく評価される可能性が、他タイプと比較してもかなり高いと考えられます。
しかし言い換えれば、音楽や絵、書籍や肩書きなどの目に見える実績にならないと、具体的な物を重視する多数派からは正当な評価を受けることは難しいということでもあります。
つまり、具体的な物に容易には変換しづらいことに興味を持ちがちなINFPは、脳内を現実に変換する方法を探す手間もかかるため、元来の繊細さも相まって社会で生きていくのが余計に負担がかかりやすいということです。
少数派ゆえの苦悩と言えるかもしれませんね。
また、あくまでも投稿者の直感なのですがINFPのADHDは多動衝動の特性の出方が不注意に比べて弱いことが多く、幼い頃から大人しくて優しい子供と評されやすい気がします。
問題視されるような多動や衝動の特性に由来する行動を起こさないため、なんとなく生きづらさがあっても見過ごされ、就職や進学を機に発達障害が発覚したような「大人の発達障害」のケースに該当する人も多いのではないかと思います。
次の項では、なぜINFPは上記のような特徴を持つのかを心理機能の側面から解説し、各心理機能とADHD特性の関係について考察していきます。
INFPの性格やキャラクターなどについて更に詳しく知りたい方は下記の記事も併せて読んでみてください。
INFPの心理機能とADHD
心理機能とは
ユングが定めた意思判断、
情報受容のための8つの機能のことを心理機能と呼びます。
意思判断のための機能が「感情(F)」と「思考(T)」、 情報受容のための機能が「直感(N)」と「感覚(S)」 と定義されており、 それぞれ内向と外向の2種類ずつが存在し合計8種類となっていま す。MBTIやタイプ論では、 それらの心理機能をどのような組み合わせで持っているかでタイプ 分けをしています。各タイプは「感情(F)」「思考(T)」「直感(N)」「感覚(S)」 の心理機能を得意な順に4つ有していて、 4つの順番には得意な順に「優勢機能」、「補助機能」、「 代替機能」、「劣等機能」と名付けられています。また、「 優勢機能」と「劣等機能」、「補助機能」と「代替機能」 はそれぞれ正反対の心理機能がセットになると定義されています。
優勢機能が内向的◯◯であるタイプは始めに「I(introverted)」が付く内向型で、 逆に優勢機能が外交的◯◯であるタイプは始めに「E( extrovert)」の付く外向型になります。
- 優勢機能・・・内向的感情(Fi)
- 補助機能・・・外向的直観(Ne)
- 代替機能・・・内向的感覚(Si)
- 劣等機能・・・外向的思考(Te)
始めに単刀直入にいうと、外向的直感(Ne)はADHDの特性と非常に似通った特徴を持つ心理機能です。そして当然ですが、逆の心理機能である内向的感覚(Si)はADHD特性から遠い特徴を持っています。
INFPを心理機能で簡単に表すと
自分の気持ちや価値観を最も重視している(Fi)
情報は具体的なものより物事の本質などの抽象的で可能性を見出だせるものを重視(Ne)
キチンとやり遂げたり細かい部分に注意を払うのは少し苦手(Si)
社会的な競争で勝つことやお金、地位などには興味がなくそれらを求めることは苦手(Te)
となります。
正直なところ、この弱肉強食の現代社会で生きることに限っては、とことん向いていない心理機能の組み合わせだと思います。
ちなみに、日本の社会で所謂「普通の人」として生きる場合に比較的有利に働きやすいと考えられる心理機能は
外向的思考(Te)の合理的な判断力や力強さ
外向的感情(Fe)の周囲の人々の気持ちを重視する考え
内向的感覚(Si)の地に足付いた保守的な堅実さ
内向的直観(Ni)の先を見通した目的意識のある閃き
となり、どれもINFPがあまり意識できていないか、得意としていないものだったりします。
とはいえこれらの心理機能が得意な人でも、かなりの生きづらさを抱えている人は大勢存在しているので、あくまでも傾向として捉えていただけると幸いです。
内向的直観(Ni)なんて環境によって、切り札になるか死に札になるかが分かれやすいピーキーな心理機能な印象がありますしね。
とはいえ、ぶっちゃけINFPの人が妙に生きづらいと感じやすい理由の根源はここだと思います。
現代の社会という環境とINFPの心理機能がマッチしていないということですね。
ここからはINFPの優勢機能から順にADHDとの関係性をかなり細かく解説していきます。
優勢機能 内向的感情(Fi)
まず始めは優勢機能であるFiとADHDや社会不適応の関係性についての解説になります。
いきなり脱線してしまうのですが、実は優勢機能というのはそのタイプの人が一番上手く扱える心理機能である分、その人にとって存在が当たり前過ぎて、半ば無意識に使用していることが多いそうです。
そのため、この記事でもFiについて軽く解説をしていきますので、もし良ければINFPの方は身近なFiに対してもう一度おさらいしてみてください。
Fiを投稿者流に一言で言い表すと「真の意味で自己満足」です。
Fiは内向の判断機能なので、それを優勢機能に持つINFPは、基本的に物事の価値は自分の中で決めようとします。
その価値を決める際の基準は何かというと純粋な「自分自身の気持ち」であり、それが内向的感情の本質だと考えられます。
自分の気持ち、とだけ聞くとFiを優勢機能に持つINFPが、なんだか自己中心的なように感じられるかもしれませんが、見方によっては実際にその通りであり、また正反対でもあります。
Fiを優勢機能に持つタイプは、自分のありのままの感情を真剣に受け止める強さを持っているため、それを自分にとって都合の良いようにねじ曲げたり、取って付けた理屈で正当化することなどのFiに対する「嘘」を嫌っていることが多いです。
またINFPは独自の倫理観を持つことが多く、その倫理観が高ければ高いほど、自分の中で正義や信条、快不快、自己への疑念などが複雑に絡み合い洗練された判断基準が作られます。
そしてその洗練された価値基準が、更にその人の倫理観を高めていくため、Fiとは健全な環境では無限の可能性を秘めた心理機能と言えるでしょう。
ただ、Fiは成長度合いによって単なる自己中心的な振る舞いの基準かどうかが変わる心理機能でもあるので、本人次第な部分があります。
INFPの場合、Fiの判断基準を作るまでに補助機能である外向的直感(Ne)という可能性を追い求める心理機能を使用するため、Fiの価値基準を作り上げる(物事を判断する)ことに人一倍時間がかかる傾向があります。
しかし時間をかける分、その判断の実態は非常に奥深く誠実なものになりやすいです。
大多数の人からはそのようなINFPの深過ぎる宇宙は見えないという報われなさもありますが、それでもFiに向き合い続けることがINFPの純粋で高尚な部分と言えるでしょう。
感情的で理性的、自己中心的で自分に厳しい、弱々しくて強い、ルーズだけど誠実、ネガティブだけど希望を持ち続ける、というような感じで、INFPとは見る場所によって評価が反転するような複雑な性質があります。
その奥深さの中枢に優勢機能であるFiがあるわけですね。
そんなFiの性質のため、現実社会での経済活動の場面などでは、実態を観測されず評価されづらいという残念な側面もありますが、INFPにとってはそれすらも糧になるのかもしれません。強いです。
さて、ここから少し話が変わります。
当たり前の話ですが、Fiが優勢機能であるため、INFPは内向型のタイプに分類されます。
実はこの内向型という性質がADHDとは密接に関わる要素の一つだと考えられます。
というのも、冒頭で紹介したとある方が行ったTwitterでのアンケート結果からも読み取れるように
内向型は外向型に比べてADHDである傾向が有意に高いことが判明しているのです。
この理由として考えられるものをいくつか考察してみました。
・内向型は思考やアイデアをあまり表に出さないため、低い評価をされやすいから説
・元々は外向型だったが幼少期からの発達障害由来の失敗により、内向型に変わった人が多い説
・ADHDの特性が強い外向型は、そもそも困っていると感じていないことが多いので診断されない説
・内向型は繊細な傾向があり、発達障害に限らず精神科に行くことが多く他の病気などの治療の最中にADHDが発覚するケースが多い説
それぞれの理由が複合的に絡み合って、内向型のADHD率の高さという結果を出していそうですね。
ぶっちゃけ内向型は現代社会に蔓延る価値観と照らし合わせると生きづらい人が多いと思いますし、発達障害とも結構な相関性があるんじゃないかなと感じています。
もちろん、コロナウィルス感染防止のための外出自粛という急な環境変化に比較的適していたのは内向型の人間ですし、近年はネット環境が当たり前になり、外向型が内向型よりも生きやすいという風潮は徐々に変化してきているようにも感じますけどね。
また、ASD/アスペルガーによる自閉傾向が強いと更に内向型との相関性は深まりそうですし、ASDとADHDは相反するようでそれぞれ特性が表れることが多いと言われているので、間接的にADHDと内向型の関係性が見えてくるような気もしますね。
この内向型とADHDについての更に詳しい考察は後の項でしていきます。
さて、再び内向的感情(Fi)に焦点を絞って考えると、同じ感情機能である外向的感情(Fe)よりも個人主義な性質が強いため、Fiが優勢機能の人は少し変わった人と見られやすい傾向もあるでしょう。
Fiの発揮する優しさは、チームに気を配るというよりも個人に寄り添うようなものとイメージすると分かりやすいかもしれません。
また、INFPは心の底から「個人としての誰か」を思い遣ることができる優しい人が多い気がしますし、自罰的な傾向はあれど攻撃の矛先が他者に向かうことはあまりないと思われるため、個人間の人付き合いでは好印象を抱かれやすいのではないかと思います。
物事の判断基準が自分の中にあるので、外部からはINFPの意思決定の実態を確認しづらく、ボーッとしているようにも見られやすいです。
加えてINFPは次に紹介する外向的直感(Ne)という連想ゲームを得意とする曲者を併せて使用するため、所謂「普通の人」からはなかなか理解されません。
ただでさえ内側に深く集中するFiが、Neの影響で頭の中で際限なく広がっていくような感じですね。
INFPは頭の中の世界が広すぎて、その広大な頭の中を外部にそのまま伝えようにも上手く伝えづらいし、たとえ完璧に伝えられても常人には理解されないことが多いのです。
INFPはNeとFiの合わせ技で頭の中に集中し過ぎるために、脳内多動を始めとした不注意特性が色濃く表れやすいと言っても良いかもしれません。
また発達障害はスペクトラム状で、社会的な障害であることを踏まえると、この「周囲から理解されづらい」という特徴を強める内向的感情(Fi)は発達障害とも関係性が深いようにも考えられますね。
FiとADHDの関係性として他に考察できるのが、社会適応力の低さによる発達障害認定の受けやすさ、と高過ぎる倫理観の板挟みでメンタルを病みやすい、ということです。
ただ、これはADHDの特性そのものに対する関係性というよりも、発達障害の診断のされやすさと、その二次障害に関連しているかもしれません。
さて、INFPのように内向的感情(Fi)が優勢機能のタイプは劣等機能に反対の心理機能である外向的思考(Te)を持つことになります。
Teを超ザックリ説明すると、目的のために客観的な合理性に則った判断をする心理機能です。
そのTeが弱いとなぜ社会不適応を起こしやすいのかというと、金銭などの社会からの分かりやすい報酬(Teの価値基準)に価値を感じないため、それらに担保されている社会という集団の仕組み自体にマッチしないという理由があるからですね。
INFPの本当のニーズは、黙って働いて昇進したり、地位や名誉、大金を手に入れたりすることでは満たされないことがほとんどです。しかもINFPはFiに加えて補助機能が次の項で解説するNeなので、興味や趣向もとにかく浮世離れしがちです。
心理機能から考えるとINFPが働くことに対してあまり魅力を感じないというのはある意味当然ですし、自分の大切な時間を社会に捧げる理由は、なかなか見つけられないことも多いと思います。
加えて言うと、Teは目的を強く志向する心理機能なので、Teの強い人は良くも悪くも要領がよく、ルールの範囲内で手段を選ばないことも多いです。
その中の一部の人々からしたら、INFPの持つ優しさや地に足が付いていない様子も手段として利用できるものと捉えて、付け入ってくることも多いと考えられます。中には、集団の中で自分の優位性を獲得するために、マウントを取るような態度で関係性を周囲に示すようなことをする人もいますからね。
※この劣等Teと社会不適応の関係性の掘り下げについては、後ほどTeの項目で詳しくやっていくのでぜひ確認してください。
さらに問題になるのは、INFPにとって社会に愛想を尽かし、開き直って無職生活を謳歌するというのはかなり難易度が高いことが多いということです。
上の方で書いていた、Fiの強みである倫理観の高さや真実に対するストイックさがINFPを楽な方へ行くことを許さないわけですね。
しかし、この場合のINFPの気持ちとしては「働きたくない」という気持ちも本物であるため、それの精査とFiの価値基準の統合に長い時間をかけることになります。
統合期間中INFPは葛藤や苦しみに晒され続けるため、長引けば長引くほど精神が疲弊していくことになります。
そうなるとうつなどが発症する可能性も高くなり、より事態が深刻になっていくという悪循環です…。
INFPがなんとなく精神を病みやすい理由の一つには、Fiのストイックさと気高さが由来になっていると考えられるわけですね。
INFPは天性のドMであり、自分に対してドSということなのかもしれませんね。
補助機能 外向的直感(Ne)
始めに言うと、この項は長くなります。それぐらいADHDとINFPの関係性にとって重要な心理機能なんですね。
これまでの文章の中で度々言及しているように、NeとADHDは切っても切れない密接な関係があると考えられます。もちろん色んな人がいるので、Ne=ADHDとまでは言い切れませんけどね。
Neの特徴は以下のようなイメージです
・物事をパターンや全体像で把握する
・細かい数字や事実に注意を払いづらい
・斬新なアイデアが自然に浮かんでくる
・一見すると無関係な物事に繋がりを見出だす
・慣習に従うよりも可能性を追及する
・頭の中で色々な情報が飛び交う
・衝動的で落ち着きがない
・森を見て木を見ず
・注意散漫
・空想が大好き
・物事の理由を探る
・好奇心が強くて飽きっぽい
・多角的に考えて選択肢を増やす
・とても柔軟
・一つに絞ることが苦手で優柔不断
・タスクなどを細かく管理をするのが苦手
・「キチンと」するのが苦手
・やる気やクオリティにランダム性がある
非常に「自由奔放」な印象ですね。
ADHD当事者の方や特性に詳しい方なら気付くと思うのですが、上記のNeの性質はADHDの不注意・多動・衝動の特性や、ADHDの強みと似ている点が非常に多くあるのが分かります。
Neが強いタイプは良くも悪くも物事を適当に把握し、ぼんやりと把握した全体像を使って頭の中で遊ぶことに時間を使うのですが、それが「普通ではない発想」を生み出せる大きな理由の一つです。
しかし、逆にそのせいで「社会的なキチンと感」は犠牲になりがちだったりもします。
例えば仕事の場面では、一部を除いてほとんどの人間が、与えられた仕事を黙々とこなす歯車として機能することを求められます。
そこに「なぜ、どうして…?」と疑問を持ち、全体像を捉えて空想をしながら可能性を広げたり、より良いやり方を模索するINFPのようなNeを強めに持つ人がいると、その業務に適さないため場違いになってしまうこともあるわけですね。
そうなると、歯車を管理する人や同僚の中には
「いいから目の前の仕事をしろ!ぼーっとしてて手際も悪いし、ミスばっかりしやがって!みんな普通にできてるのに、なんでお前だけできないんだ!」
と怒り出す人も出てくることが考えられますし、当然その業務をしていても評価はされづらいわけです。
やるべきことをやる実務的な能力よりも、本質的な意味を理解して応用するような想像力に偏っているNeは、目の前に差し出されたタスクを黙々と片付けるような仕事をする場合には不利な心理機能ということですね。
多数派からしたらやれて当たり前、のような雰囲気の物事に限って上手くこなせないというのは、発達障害との親和性を感じさせますよね。
内向的直感(Ni)にもNeと同じように「普通とは違う強み」があり、アンケート結果でも有意にN型ADHDの数が多いので、ぶっちゃけN型と発達障害は関係性があると思われます。
ちなみに、Neの逆の心理機能である内向的感覚(Si)の性質は「日本で普通の社会人」的な歯車として働く上では非常に有利に機能します。
INFPは代替機能(3番目)にSiを持っているので、そちらも後ほど解説します。
世間一般の「当たり前」を上手くこなしづらい分、世間一般の人々ができないことを自然にやれるのがNeであり、そこが「発想力」として評価されるポイントです。
周りと同じであることを要求する価値観は割と日本特有とも言われており、人と違うことは本来であればポジティブな意味を多分に含んでいるんです。
さて、「発達障害」とは相対的でスペクトラム状の障害と定義されています。つまり厳密な線引きは存在せず、定義されている発達障害の特性の本質は「多数派と比べて変か」をポイントにしていると考えられます。
上述の通り、Neの物事の理由を知ろうとする好奇心や発想力はある意味「普通」じゃないからこそ備わっているのもあるため、「NeはADHD(発達障害)を持つ人との関係性が高い」と投稿者は考えています。
また事実として、何度も登場しているタイプとADHDのアンケートではNeを補助機能(2番目)までに持つNP型がランキングの上位をほぼ独占しているという、なかなかに面白い結果も出ています。
そしてその全体に対する占有率たるや
1位INFP(29.2%)
2位INTP(18.8%)
4位ENFP(7.3%)
5位ENTP(5.3%)
なんと驚異の60.6%です。
単純に考えるとADHDの6割がNeの強いタイプである可能性が高いということですね。
データで見ても明らかに関係性があるように思います。
以下のリンクからNP型の性格などを解説している記事を読むことができますので、もし気になった方はNeの共通点やADHDっぽさのある特徴などを見比べてみてください。
しかし、ここで1つ疑問が浮かび上がります。
ENxP(Neが優勢機能)のタイプに比べて、INxP(Neが補助機能)のタイプのADHDである人が異常に多いのはなぜなのでしょうか。
NeがADHDと関係が深いのであれば、優勢機能にNeを持っているENxPの方がINxPよりも多くなるのでは?と感覚的には思いますよね。
この疑問点の答えの一つには内向型と外向型の違いがあると考えられます。
脱線 内向型とADHD
まず、ENxPとINxPの一番大きな違いは外向型と内向型です。
先ほどのアンケート結果では、NP型に限らず全タイプを見ても内向型は外向型に比べて全体を占める割合が明らかに多く、ADHDと内向型には何らかの関係性があることが示唆されています。
一つ前の項の「優勢機能 内向的感情(Fi)」のところでも少し解説したように、内向型とADHDの関係性を語る上で重要になると考えられるのは「内向型特有の生きづらさ」です。
内向型特有の生きづらさとは何かというと、ずばり外向型と比べて社会的な意味で評価されづらいということです。
おそらく皆さんの中で、外向型は分かりやすく活発、内向型は主張が弱く大人しめ、というザックリとしたイメージがそれぞれにあると思います。
実際に概ねその通りです。
外向型は行動的でエネルギーに満ち溢れていて、何か(優勢機能にまつわる傾向)を成し遂げたり刺激を感じるために活発に動くことが多いです。
対して、内向型は落ち着く場所(優勢機能にまつわる傾向)で羽を休めることに幸せを感じエネルギーが充填されるため、内面を深く思索することが多いんです。
例えばENFPとENTPのNeを優勢機能に持つ外向型のタイプは、Ne(優勢機能)で思い付いたアイデアを外の世界に出すことに精力的です。
その方法は「思い付いたことを口に出す」だったり「アイデアを実現させるためにすぐに行動する」などになるため、とにかく元気で落ち着きがないように見えるかもしれません。
行動の数が多いため、失敗も多いかもしれませんが、成功を生み出す可能性もその分高くなります。
アウトプットが多いと他者からの理解を得ることにも繋がりますし、外向型はなんだかんだで上手く社会に適合できる人が多そうです。
対してINFPとINTPのNeを補助機能に持つ内向型のタイプですが、この2つのタイプはそれぞれ優勢機能に内向的感情(Fi)と内向的思考(Ti)という心理機能を持っているため「自分の中で納得すること」を第一に考えています。
この2タイプにとって補助機能であるNeは基本的に、自分の納得のためのツールとして使われます。
では補助機能Neがどのように使われているかについて、INFPに有り得そうな脳内の1例で紹介してみます。
INFP「・・・・・(作業つまんないな…。あ、なんかこのペン、ビームサーベルみたい。もしビームサーベルがあったら、こんな仕事しなくてもいいのかなぁ…。でも戦争になったら私はすぐ死ぬかも…いや、意外と才能があって英雄として生き延びるかも…ゲームとか結構得意だし、活かせるかもしれない…それだったら面白そう。でもただのゲームだしなぁ…。まぁどっちにしても戦争になったら嫌だな、大勢が犠牲になるだろうし…そんなの見たくない、何人か死んでもいい人間は思い付くけどね…いや、流石にそんなこと、思っちゃいけない…うーん。でも過去の事例を見てると、そろそろ何か大きな戦争が起きてとおかしくないんだっけ…っていうのをなんかで見た気がする。戦争といえば、田舎の婆ちゃん元気かな…久しぶりに会ったら(略……。)
あっ、ミスった!!」
という感じで、ちょっと極端な例だったかもしれませんが、INFPの補助機能のNeは優勢機能であるFiのために、頭の中で物凄い量の空想や可能性を生み出すのに使われていることが多いんですね。
しかし、基本的に外側からではまったくその様子は分からないですし、頭の中に意識が集中する分、ぼーっとして見られたり現実世界でのミスが多くなってしまいます。
INFPや特にADHDの方は無意識に例のような思考をしていると思うのですが、実は世の中のほとんどの人の頭の中はもっと静かで、悪く言えばつまらないものだったりするんですよね。
内向型は自分の中で満足してしまうことが多いので、自分の外側に対して行動する回数自体が外向型に比べて少なくなりがちです。
そのためINxPは、優勢機能とNeで深く作り込まれた斬新な発想や世界観が頭の中で渦巻いていても、世に出すことなく、評価されずに終わってしまうことが多々あるということですね。
ただでさえ世間に理解されづらいNeを持っていて、アウトプットの機会も少なく正当な評価の機会に恵まれず、ぼーっとしていると思われがちとなれば、そりゃ色んな意味で「普通とは違う」と感じるのも、当然と言えば当然なのかもしれません。
そうなると本人的にも社会での生活はあまり心地よいと感じないことが多いでしょうし「内向型特有の生きづらさ」が表れると思われます。
ENxPとINxPの例で内向型と外向型を表した文章を見て気付いた方も多いかもしれませんが、ENxPはADHDの不注意に加えて衝動性や多動を強く感じさせ、INxPはADHDの不注意をより強く感じさせるような内容ではなかったでしょうか?
同じNeが強いタイプでも、行動派の外向型は衝動性や多動の傾向が表れやすく、頭の中で何かをする内向型は不注意優勢型の性質が出やすいと考えられる、ということですね。
ちなみに、多動や衝動は年齢と共に落ち着いていく傾向があるとされているため、これも内向型のADHDの方が多くなる理由の一つだと思われます。
不注意は年齢を重ねてもなかなか無くならないんですよね…。
さて、発達障害の診断基準の一つには「本人や周りの困り具合」というものがあります。
つまりいくら発達障害の特性が出ていても、困っていないのであればその人は発達障害と定義されないということであり、社会で困りやすいのは内向型であるということを踏まえると、発達障害に内向型が多くなるのは必然的とも言えるのかもしれないということになりますね。
これが、内向型のADHDが多い理由(考察)です。
次の項からまた、心理機能とADHDの考察に戻ります。
代替機能 内向的感覚(Si)
代替機能は各タイプに4つある心理機能の3番目ということで「意識はしていて一応機能するけど、ぎこちないし得意とは言えない」そんな立ち位置です。
INFPは内向的感覚(Si)が代替機能です。
SiもINFPとADHDを語る上で非常に重要な意味を持っているため、この項も長くなります。
Siは何度か別の項で触れたように
・ADHDと関係の深いNeと真逆の心理機能
・木を見て森を見ず
・社会適応しやすい
・保守的
・安定志向で前例主義
・日常的な作業をキチンとこなす
・過去から学ぶ
・物事を細かく確実に把握する
・ルーティンを好む
・コツコツ積み上げることを好む
・最後までやり遂げる
・単純作業でミスをしづらい
・予想外のことが苦手
・ルールや慣習を重視する
・遅刻やミスをしづらい
・時間感覚が正確なことが多い
・スケジュールや体調の管理が上手い
・計画的で真面目
・常識的
・抽象的なことは苦手
・権威やデータを重視する
・ちょっとした体の変化に敏感
・五感を通して感じることを好む
・いつもと同じを好み変化は苦手
などの「しっかり者」の特徴を持っています。
Siは自分の経験した感覚や記憶を用いること、すなわち過去のデータと目の前の事象を比較する性質があるため、過去に裏付けされた明確な事実を信用するということになります。
その結果、新しいやり方よりも今までの成功パターンを好む、真面目で保守的な面が表れやすいということですね。
前の項で解説したNeの反対に位置する心理機能なだけあって、ADHDらしい好奇心旺盛でランダム性のある特性とは正反対の雰囲気がありますよね。
それもそのはずで、世界のS型の割合は75%でその中でもSiを優勢機能/補助機能に持つSJ型の割合は人口の約半分を占めるというデータがあり、要するに多数派という特徴があるからなんです。
多数派の反対の性質が強いタイプの人は、相対的に普通じゃなくなり、発達障害と定義されやすいということですね。
Siが強いとあまり変化のない安定感のある毎日を好むため、真面目さやキチンと感のある性格も相まって公務員やサラリーマンの適性とは関係が深いと言えるかもしれません。
ぶっちゃけ現代の社会で組織で仕事をする際には、ほとんどの場合で役に立つ心理機能だと思います。
Siが強い人に仕事を任せれば確実にやってくれるであろうという安心感がありますし、本当にしっかりと正確にやり遂げてくれる人が多いので、目立たないながらも周囲からも頼りにされる縁の下の力持ちタイプが多いです。
また少なくとも日本のほとんどの集団では、Siが弱いと「その他大勢」になりづらいため、集団内では良くも悪くも目立ちます。
それと、気付いた方もいるかもしれませんが、Siの特性が強すぎることとステレオタイプのASDの一部の特性にはかなり深い関係性があると考えられます。
常同的な行動、変化を苦手とする、感覚の鋭さ、細部に拘る、ルールを厳格に守るなどのASDの特徴は、Siの特性と類似性があるように感じられませんか?
常識的な側面の強いSiと、発達障害であるASDに関係が見えてくるなんて不思議ですよね。
アインシュタインの名言にこんなものがあります。
常識とは、18歳までに身に付けた偏見のコレクションである。
アルベルト・アインシュタイン
常識には絶対的な基準はないということですね。
つまり「常識的な行動」とは、大多数の物の捉え方や考え方が同じであるからこそ生まれているものであり、多数派に支持された価値観ということになります。
Siの内容そのものが「常識的」なのではなく、結果として常識的な側面を持つに至ったと考えるのが妥当なのかもしれません。
当然、多数派と感じ方や熱量に違いのある人のSiは「常識的」の範疇から外れてしまうことも考えられ、それがASDの特性としてSi的な側面が強調して挙げられる理由であり、構造であると考えることもできますね。
「常識」について別の角度から考えると、社会的、協調的な価値は結果として付いたものであり、その本質はアインシュタインの言うように極めて自閉的なものなのかもしれません。
「ADHDと関係性の深いNe」と「ASDと関係性の深いSi」が真逆の心理機能であることからも、以前の発達障害に対する見識では「ADHDとASDは併発しない」とみなされていたことの理由が、心理機能を通して見えてきそうな気もしますね。
これに関してはまた別の記事で考察してみようと思います。
さて、話を戻します。
INFPにとってSiは苦手でありながらも一応は使えます。
そのため物事を期日通りにやろうとしたり、丁寧に家事をしようとするなどの一応の「真面目さ」をINFPは持っていることが多いです。
しかし、そもそもSiを使うのは得意じゃないため、その努力が報われないこともあります。
INFPにとって代替機能であるSiは意識せざるを得ないけど使いづらい、目の上のたんこぶのような心理機能です。
さて、INFPの「一応使えなくもないSi」とADHDにはどのような関係があるのかを一言で表すと、「生きづらさを加速させている」という表現ができます。
その一つの分かりやすい例がFiとSiによるループです。
ループとは何かというと、各タイプは不健全な状態になると、補助機能の代わりに代替機能を使って状況を打破しようとする性質があり、それをMBTIではループと呼んでいます。
なのでINFPの場合はループではFiとSiを使うようになって、「過去を思い出しては感傷に浸る」といういつにも増して内向性が高まった状態になります。
過去から現状を打開するヒントが得られれば良いのですが、ループしていると外向の心理機能であるNeが上手く働かないため、視野も狭くなり自分の殻にひきこもるようになって、ループから抜け出せなくなることが多いです。
しかもINFPの性質として「悲観的なものに興味を持つ」というものがあるため、Siで想起する過去はトラウマなどのネガティブなものになりがちで、繊細なFiでそれを延々と処理し続けることになります。
そのため、ループの果てに遂には精神を病んでしまうことも珍しくないでしょう。
ADHDに付随するうつなどを二次障害として発症しているケースは非常に多いですが、このループの状態を経ていることが多いように感じられます。
INFPと同じくSiを代替機能に持つINTPもADHDの割合が2番目に高いですし、代替機能Siはループの際に精神に大きな負担をかける心理機能とも言えそうです。
また、これまでの解説で述べたようにINFPは社会との関係性により色々な生きづらさを抱えやすいため、そもそも他のタイプよりもループを起こしやすいという可能性もあります。
もう一つINFPにとってSiが「生きづらさを加速させている」理由として挙げられるのは
ズバリ「なかなか無視できない」ということです。
先ほど述べたようにINFPにとって代替機能のSiはどうしても意識してしまう目の上のたんこぶのような存在です。
もしENFPやENTPのように劣等機能にSiが位置していれば「別に興味ない(嘘)」とある程度は見ないふりもできるのですが、代替機能なのでそうもいかないんですよね。
なぜINFPにとってSiを意識することが生きづらさに繋がるかというと、Siは社会において多数派の心理機能だからです。
Siを意識するということは「苦手な多数派の土俵(Si)に上がらざるを得ない」ということであり、結果としてSiという多数派の社会の評価基準で判断されやすくなるということですね。
皆さんの中にも、なんとなく違和感を感じていたけど流されるままレールの上を進んで、社会に出てから上手くいかなかった、という経験をした人がそれなりに多いのではないでしょうか?
周りの人がSiの価値観で生きていて学校や家庭でもそれに沿ったことを教えられるため、自分もSiを意識してそのまま進むけど、結局あまり上手くいかず違和感だけが残る。
これはINFPやINTPにありがちなパターンのように感じます。
要するに多数派とは強みが違うのに代替機能にSiがあるせいで多数派の世界で生きることになりがち、ということですね。
Siを上手に使わなければいけない世界でINFPが生きていても、強みを発揮しづらいですからね。当然、多数派の世界での不適応が発覚することにも繋がり、ADHDの診断を受けやすくもなります…。
このように、ENTPやENFPのように「Siを持ってはいるけど無視して突き抜ける」ことができないのがINFPとINTPの生きづらさ、ひいてはADHDの診断を受けやすい理由の一つだと考えられます。
ただ、INFPにとってSiの完璧なコントロールは難しいかもしれませんが、Neとのバランスが整えば発想力を形にする粘り強さが出てくるはずです。代替機能は30代以降に徐々に上手く扱えるようになる傾向にあるとされているので、それもINFPが大器晩成と言われる所以の一つだと思われます。
普段の生活でSiとNeのバランスを意識的に調整してみるのも良いかもしれませんね。
劣等機能 外向的思考(Te)
劣等機能はどのタイプにおいても、最も苦手意識を感じ、一番の弱点になりやすい心理機能です。
見ないふりをしていても存在は認識してしまう、そんな立ち位置と言えるでしょう。
INFPの劣等機能は外向的思考(Te)で、優勢機能のFiとは対になる関係の心理機能です。
Teを簡単に説明すると、目的のために客観的な合理性に則った判断をするという性質を持っていると言えます。
様々な争い事において優位に働く力強い心理機能であるため、経営者や指揮官などの人の上に立って指揮をするような仕事に向いています。
Fiの反対の心理機能であることからも察せられるように、Teは公平性、効率、理論、などの客観的基準を重視する分、個人的な感情は軽視しています。
そのため、Teという心理機能は厳格で理知的な雰囲気がありリーダーシップや実行力に優れますが、裏を返せばFiの強みの反対であるため「自分の気持ちを受け止められない」という欠点も抱えていたりします。
これが災いして、自分の抱いている感情に素直になれず、理屈を付けて正当化したりすることもあるので、そういった点では非常に感情的だったりもするんですよね。
さて、当然ですがINFPにとってのTeは基本的に最も苦手な心理機能だと思われます。
ここを見ているINFPの皆さんは「金を稼ぐ」「地位を獲得する」「権力を握る」「異性を侍らせる」のような、客観的な価値に裏付けされた物や立場をそれほど欲しいとは思わないのではないでしょうか?
これらはTeの価値基準になりやすい例なのですが、どちらかというと乱暴で野性的な雰囲気があり、なんとなく嫌悪感を持つ方もいるかもしれません。
INFPがTeの世界でのマウントの取り合いに巻き込まれると、踏み台にされて不当な扱いを受けることも多いと思われます。
しかし今のところは人間も所詮は動物であるため、社会での経済活動もこういった野性的な欲求を満たすためという側面を孕んでいるのが事実です。
例えば、会社で優秀な人材としてガッツリ働き、良い地位に登り詰めると権力、収入、性的なステータスが自動的に手に入りやすいようになっており、そういったシステムを社会そのものが提供しているような側面があります。
Teが弱いINFPはどうなるかというと、社会が用意してある単純な価値観に沿った報酬に魅力を感じず、多数派にとっいての共通の目的に同調できないため、行動の動機付けに繋がらないということになると考えられます。
つまり、根本的にあまり働きたいという欲求が沸き上がらないと考えられるということなんですね。
もちろん、社会からの労働の報酬としてはプライスレスな「感謝」「一体感」「組織に所属すること」などもありますが、これらは基本的に外向的感情(Fe)の価値基準に近く、内向的感情(Fi)を優勢機能に持つINFPにとっては強い動機付けに繋がるような魅力ではない場合が多いです。
INFPの本当のニーズを満たすためには、社会から直接何かを貰うのではなく、自分の中で自分にしかない「満足感」を生み出して感じ取る必要があると言えるでしょう。
そのためINFPにとっては、長時間働いて金銭の報酬や集団的な一体感などを得ることは、心のどこかで「やりたくない」と感じていることが多いと思います。
言い方があれですが、INFPが普通に労働するということは、心理機能で考えてもコスパが非常によろしくないんですよね…。
正直なところ、大切な自分の時間がもったいないと感じるINFPの方も多いのではないでしょうか?
Teの価値基準は、あえて悪く言ってしまえば野性的で単純です。
しかし、Teの価値基準にある程度適応することは、社会で多数派によって定義される「大人像」の要件の一つでもあります。
つまり、Teを最も苦手とするINFPは社会から子供っぽく見られやすいということであり、これは子供っぽく見られがちなADHDの特徴と一致する部分でもあります。
大人になったINFPのFiとNeで作り出される深い精神世界、本質と向き合う心の強さは、むしろ老成していると言えるほどの「大人っぽさ」を孕んでいるのですが、多数派からすると子供のままに見えることが多いです。
今の社会の「大人」の定義では、コインの裏表の表を持つ人が圧倒的に多いので、表にしか光が当てられておらず、残念ながら裏は格下に見られているということですね。
多数派ではないINFPのようなタイプは、精神の成長の順番も方向性も違うので、現代社会からは誤解を受けやすいと考えることもできます。
一説によると発達障害の精神年齢は実年齢×0.6と言われますが、それは多数派の考える精神成長のロールモデルに照らし合わせた場合の話であり、まったく別の成長を遂げるタイプにそれを当てはめても意味がないと考えられます。
INFPがTeの価値観で社会とどう付き合っていくかは、社会からの報酬を自分の「納得感」を生み出すためのきっかけと捉えられるかどうかだと言えるでしょう。
ただ、いくらそうは言っても限度があると思われるので、INFPでADHDの人はNeの好奇心を満たせる職務に就くことが働く上で大切なことかもしれません。
ADHDに向いてる仕事、と検索するとよく出てくる「興味のある仕事が向いています」という身も蓋もない回答は、INFPの心理機能から解釈すると「Te、Fe、Siという一般的な社会の価値観だと働く動機付けにはならないから、Neの好奇心を原動力にするのが吉」と考えられるということですね。
本当はFiを満たせる仕事に就くことが一番なのですが、現代社会の一般的な仕事において「利益を出す」ということにFiはあまり適正がなく、有効に機能する仕事は数が少ないと思われるのが、INFPの社会適応で厄介な部分と言えますね。
ぶっちゃけINFPのADHDは、無理に合わない仕事をするよりは、一度無職になって自分の内面をより洗練させていく方が、長い目で見ると上手くいくことも多いのかなと思います。
でもFiの項で解説したように、そこに倫理観や誠実さ、素直な感情の葛藤が生まれるのがまたINFPの難しいところなんですけどね…。
無理に社会の中に入るのではなくて、自分の世界から社会と適度に外交する、という考えで生きることが負担になりづらくて気が楽だと個人的には思います。
INFPの心理機能から見る生きづらさと優れている部分のまとめ
・表面的な物に興味を持てない
・社会的な競争心を持ちづらい
・深い情緒と思考の間で板挟みになり、自滅しやすい
・現実的で分かりやすい「何か」を周囲に示しづらく、誤解されたり過小評価されがち
・多数派の社会で必要とされる能力がない
・優しいがゆえに分かっていても利用されることがある
・優れている点や強みをなかなか理解されない
・「その他大勢」を育てる教育方針と合わない
・多数派とは成長の方向性や価値観などが違う
・常識的な面もあるため、突き抜けられない
INFPとADHDに共通する強みを活かすには
これまで長々と結構ネガティブな内容を記述してしまいましたが、要所で主張していたようにINFPのADHDには強力な武器が確実に存在しています。
例えば、INFPの優勢機能のFiと補助機能Neの組み合わせは、あまり自覚がないかもしれませんが、頭の中で常に何かを作り出しているという、圧倒的なクリエイティブさを持つという一面もあります。
「作る」とは実際に物質を組み合わせて形のあるものを生み出すことだけを指すわけではないですからね。
頭の中で自然に繰り広げられる倫理や哲学、空想などに関する思考活動は、多数派にはない能力なので、これは確実に強みとなります。
しかし、この強みを多数派の世界に持っていくときには一工夫必要であるという問題点があります。
少数派であるがゆえに多数派の世界に向けた変換作業が必要で、普通の人よりも労力がかかるということですね。
ぶっちゃけ工程が多くなる分大変ですし、少数派ゆえの損だとは思います。
おそらく、生きづらさの中で絶望しているINFPのADHDの方の中には、この変換作業が必要であるということを見落としている人も多いのではないかと思います。
この変換作業とは具体的になんなのかと言うと、端的に言ってしまえばアウトプットです。
本当に評価されるかどうかは別として、可能性を開くためには「目に見える形」にして自分の外に何かをさらけ出す必要があるんですね。
Neの項で話したように、ENFPやENTPの外向型とINFPとINTPの内向型とでは、Neが強くて他のタイプよりもADHDの人が多いという共通点はあっても、その数値には有意な差がありましたよね。
全体のデータを見ても、似たタイプで見比べると内向型のADHDが多くなっていました。
内向型の強みである「熟慮」と少しの外向性が組み合わされれば、かなり可能性が広がるはずです。
ただ、外向性は今までの人生の成功体験や自己肯定感などに裏付けされているような面もあるので、INFPでADHDの方の中には、なかなか意識的に外向性を発揮できない方もいると思います。
そんな方はまず、外向的直感(Ne)を意識的してみることをおすすめします。
感情や記憶を多角的に再検討することで、意外と物事の良い面も見えてくることはありますし、自分の中で何かを覆した経験は自信にも繋がるかもしれません。
まとめ
INFPやADHDの方にとっては、疑問を持つことや妄想や可能性の模索は自然にやり過ぎていて自覚がないかもしれませんが、それは多数派にはできない能力であり強みです。
世間で当たり前や普通とされる基準とは多数派の決めた基準であり、自然にその多数派が持つ優位な心理機能に沿うよう作られています。
つまり、INFPやADHDのような社会の少数派にとって苦手な能力を発揮することが「当たり前」の基準となっているので、その土俵で周りと同じようなことをやると、劣等感を抱くのは当たり前なのです。
更に、そのハンデを埋めるための努力も、多数派からすると「当たり前」とされることが多いかもしれません。
これには、多数派の心理機能として、自分の体験していない事象に対するアンテナが弱いという側面もありますが、そもそも多数派はINFPでADHDのような少数派と比べて、社会的なスタートラインに立つための努力、というものを経験せずとも自然に身に付いていることが多く、それを努力と言われてもピンと来ないという理由もあると考えられます。
逆に、現在の多数派の一人が少数派だらけの異世界に転生すると、そこではその人の発想力のなさや情緒や思考の浅さなどが、その世界の「普通」の基準から外れる可能性があるため、発達障害に類するなんらかの診断名が下されるかもしれません。普通の立場が逆転してしまうからです。
本当は「普通」には絶対的な基準は存在しないということですね。
しかし、社会的な価値観と違い、心理機能とタイプに本質的な優劣はありません。
それぞれ良さと欠点があり、備わっている心理機能は得意と不得意の等価交換のようなものです。
なので、自分とは違う多数派のタイプを目の敵にしたり、見下したりすることはおすすめできません。
あくまでも「自他の優劣はない」という前提を踏まえた上で、自分と他者の違いを知るということ、自分の良さや他者の良さを知ること、そしてそれらを尊重することを意識することが多様性の理解に繋がると思われます。
しかし、そうはいっても社会の少数派であるINFPやADHDは、現実として社会から蔑ろにされやすく、結局のところ生きづらさを感じることが多いと思います。
なので、INFPやADHDなどの社会での少数派の人は、無理に普通に迎合せず、自分が生得的に持っている強みを発揮できる環境を目指すことが幸せに繋がりやすいと、個人的には思います。
回り道をしてでも社会との距離感を調整することが、長期的な自他の尊重と幸福に繋がると考えられるからです。
ただ、幼少期から常に社会の少数派として生きてきた分、数えきれないほどの傷を受けて今まで生き延びてきた人もいるでしょうし、学校や教育も多数派にとって分かりやすいようになっていることが多いため、これから若い頃に学べなかった何を学び直す時間が必要な人もいると思います。
なので、全員がすぐに強みを発揮できるかどうかは分からないと思います。
しかし、社会不適合者は往々にして大器晩成型です。自身の中に眠る巨大なパズルが完成すると、大きな力を発揮することになるのです。
それに、金銭を得るなどの社会的な意味での成功じゃなくても、自分の世界を全肯定できる穏やかな無敵の心を手に入れる求道者の道や悟りの道だってありますし、成功の形は一つじゃありません。
皆さんが自分を労りながら、回り道や休憩をしてのんびりとパズルを完成させられるように、陰ながら応援しています。
長い記事になりましたが、見てくださりありがとうございました。
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