ESTJの性格・特徴
ESTJは伝統や規範を守りながら、強い意思と責任感を持って物事に取り組むことができる現場主義の監督者タイプです。外交的で論理的思考力に優れているESTJは、客観的な事実に基づいて皆を牽引するような強いリーダーシップを発揮します。
またESTJは計画性があり、経験に裏付けされた現実的な論理に則って物事を進めるため、優れた遂行力を持っていると言えるでしょう。社交的で自分の所属しているコミュニティを大切にする傾向も強いため、その中での秩序やルール、規範などを積極的に掲げて周囲の人々にそれらを守るように促すという保守的な性質を持っています。
合理性を重視しているESTJは無駄なことを嫌い、効率の良さを求めています。過去の経験や事実をデータとしてしっかりと覚えていて、それらを参照することでESTJは同じ失敗を繰り返さなくなり、結果として素早く効率的に物事を進めることができます。
権力や地位、金銭、人望などの客観的に評価しやすいものに対して価値を感じやすく、地に足ついた現実主義な点と争いを恐れず闘争心が強い点から組織内で出世をしやすいという特徴もあります。
ただ、伝統や経験に敬意をはらいながら客観的な論理を組み上げることが得意な一方で、柔軟な対応が苦手で未知のものや抽象的なものなどに対してはあまり興味を持てず苦手意識を持っていることが多いかもしれません。
ESTJは行動力に優れ何事も計画通りに進めたいと思っており周囲の人々もそうであってほしいと考えている傾向が強いです。それらの性質は集団に規律をもたらし、ESTJは優れたリーダーとして人々から尊敬され頼りにされることになるでしょう。
また、社交的な特性からプライベートでは仲間とハメを外して楽しむことができるというバランスの良さも持ち合わせています。
しかし、ESTJは自分や周囲の感情に配慮することが苦手で、強いリーダーシップと頑固な性質が相まって悪気はなくとも周りの人々に自分の考えを強く押し付け過ぎてしまうことがあります。
また、ESTJは強い責任感と真面目さの裏返しで、ルールや規則を守らない人々に対してストレスがたまりやすいです。自他共に厳しいので甘えも許さない傾向にあり、人に対して攻撃的になることもあるので注意が必要です。
ESTJの心理機能
心理機能とは
ユングが定めた意思判断、
情報受容のための8つの機能のことを心理機能と呼びます。
意思判断のための機能が「感情(F)」と「思考(T)」、 情報受容のための機能が「直感(N)」と「感覚(S)」 と定義されており、 それぞれ内向と外向の2種類ずつが存在し合計8種類となっていま す。MBTIやタイプ論では、 それらの心理機能をどのような組み合わせで持っているかでタイプ 分けをしています。各タイプは「感情(F)」「思考(T)」「直感(N)」「感覚(S)」 の心理機能を得意な順に4つ有していて、 4つの順番には得意な順に「優勢機能」、「補助機能」、「 代替機能」、「劣等機能」と名付けられています。また、「 優勢機能」と「劣等機能」、「補助機能」と「代替機能」 はそれぞれ正反対の心理機能がセットになると定義されています。
優勢機能が内向的◯◯であるタイプは始めに「I(introverted)」が付く内向型で、 逆に優勢機能が外交的◯◯であるタイプは始めに「E( extrovert)」の付く外向型になります。
ESTJは優勢機能に判断機能の役割を担う外向的思考(Te)を持っており、補助機能以降は内向的感覚(Si)、外向的直感(Ne)、内向的感情(Fe)、という順に心理機能を有しています。
- 優勢機能・・・外交的思考(Te)
- 補助機能・・・内向的感覚(Si)
- 代替機能・・・外交的直観(Ne)
- 劣等機能・・・内向的感情(Fi)
ESTJの心理機能について更に詳しく知りたい方はこちらの記事がおすすめです。
ESTJのキャラクター
youtube
- 惣流・アスカ・ラングレー(エヴァンゲリオン)
- 中野二乃(五等分の花嫁)
- ベジータ(ドラゴンボール)
- イザーク・ジュール(ガンダムSEED)
- 風間トオル(クレヨンしんちゃん)
- ダイワスカーレット(ウマ娘)
一言で表すならTHE・ツンデレといったキャラクターが集まっています。優等生やエリート気質が強くしっかり者であるため、作品内ではリーダーやライバルの役割を担うことも多いです。
能力が高く優秀な反面、素直になれないなど人間関係は不器用な傾向にあるため、そのギャップがファンに受けている人気なキャラクターが多いですね。
ESTJの発達障害の傾向と関連性
タイプの日本における比率
INTJ 1.88%
日本版MBTIマニュアル
INFJ 2.07%
ENTJ 3.22%
ISTP 3.60%
ENFJ 3.66%
INTP 4.09%
INFP 4.68%
ISFP 5.14%
ESTP 6.48%
ESFP 6.90%
ENTP 7.86%
ISFJ 8.08%
ISTJ 8.28%
ENFP 10.08%
ESTJ 11.84%
ESFJ 12.15%
心理機能の観点で考えるとESTJは少なくともADHDの特性は出づらいタイプだと考えられます。
しかし、ESTJの補助機能である内向的感覚(Si)の特徴はASD(自閉症スペクトラム)の特徴と合致する部分が多いです。ルーティンを好み変化を嫌う性質や感覚に敏感な傾向、真面目にコツコツと最後までやり遂げる性質などが当てはまります。
しかし、実はこれらの特徴は上の表で示されているように日本国内のMBTIタイプの約40％を占有する「SJ型」が持つ性質であり、言うなれば日本国内の多数派が持つ性質と考えられます。そのため、一般的な社会生活を送る上でそれらの特徴は有利に機能することも多いでしょう。
ESTJの場合はASDであってもなくても、内向的感情(Fi)が劣等機能であるために自分や他者の個人的な感情に鈍感である点が社会生活における自分の弱点だと感じている傾向があると思われます。
これらを踏まえてESTJのADHD・ASDの表れ方について解説をしていきます。
ADHD(注意欠陥多動性障害)
ESTJは補助機能に内向的感覚(Si)を持っているため、規則を遵守し時間を守ることやこつこつと物事に取り組んで完成させることなどの「しっかり者」らしい能力が秀でているでしょう。これらが苦手なことはADHDが持つ典型的な特性であるため、心理機能の観点から考えるとESTJがADHDの傾向を持つことは希少なケースだと考えられます。
あるとすれば、後述のASDに併発する形でADHDの特性が一部表れているというケースが多いと思います。
ただしESTJの代替機能である外交的直観(Ne)はADHDらしい特徴を持つ心理機能です。
代替機能は補助機能で問題の解決が上手くできなかった際などに表に出てきやすいため、ストレスや社会的な必要性に迫られて外交的直観(Ne)が暴走していることで、ADHDの特性が強く出ているパターンも考えられます。
またADHDのタイプとしては多動・衝動の性質が出やすいと思われます。
ASD(自閉症スペクトラム)/アスペルガー症候群
ESTJは優勢機能の外向的思考(Te)と補助機能の内向的感覚(Si)から、積極奇異型や尊大型ASDの特徴に合致する性質を持っていることがあると考えられます。
内向的感覚(Si)の特徴である変化を嫌いルーティンを好む点や感覚の過敏さなどはASDの典型的な特徴と合致します。
また外向的思考(Te)の特徴である白黒はっきりとした論理的な思考を得意としている点や、共感や情緒的な事柄への鈍感さなどもASDの特徴と合致する部分が多いです。
発達障害とMBTIについての小話
このようにMBTIの観点で発達障害(ASD、ADHD)を考えると、発達障害の特性とはそのタイプが持つ心理機能の特徴であるという考え方もできます。
各タイプごとに発達障害傾向が出やすいかどうかの差がありますが、MBTIの世界ではそれぞれのタイプと心理機能に優劣はないとされています。
つまり、発達障害とは一部の心理機能や組み合わせが社会が変化していく中で相対的に不利に作用するようになったことにより作り出された障害とも考えられるのです。
また一つの傾向としてN型(直感型)の人は想像力や拡散的思考が得意な傾向がある反面、どこか地に足が着いていないことが多く、ADHDと合致した特性が出やすいとされています。
その理由としては社会の中でN型(直感型)の人の割合が25%なのに対して、S型(感覚型)の人の割合が75%という大きなシェアを持っていることが挙げられます。
これほど差があると社会そのものが多数派であるS型にとって有利な形に発展しやすいということは想像に難しくありません。
そして、そのような発展を遂げた社会ではN型の特性が多数派から異質に見えたり生活に適さないことが多くなるのです。
その結果N型の人々は社会不適応を起こしやすく、その不適応を起こしている人々には皆似たような特徴(N型の特徴)を持っていると認知されたことで、ADHDという障害名を付けられることになったと考えることもできます。
ここでは一例としてN型のADHDについて例を出しましたが、もちろんS型の人の中にも別の理由で社会に対して生きづらさを抱えている方やN型だけどADHDじゃないという方も大勢いると思います。
MBTIを通して考えると発達障害者の特性は単純に他者より劣っている部分という性質だけではなく、本来ならば優劣のない個性の一つだったと捉えることもできるということがなんとなく伝わったかと思います。
皆様の中に発達障害の特性で困っているという方がいたら、MBTIなどの別の視点から「理由」を探して客観的に自己を見つめ直すことを検討することをぜひ検討してみてください。
もちろんここで紹介したタイプの特徴と発達障害傾向の関連性が必ずしも当てはまるとは言えませんが、自分の特性の大枠を捉えることで心の健康を保ったり前に進むための手立てになるかもしれません。
これからも少しでも皆様の個性的な生活の一助になれるような、生きづらさ×MBTIの記事を多数投稿していく予定ですのでよろしくお願いします。
